「自分ばかりが…」 2017-11-20
先月に行われた総選挙では、医師の資格をもつ立候補者が41人いたそうです。何名が当選したかは知りませんが、医者は「二足の草鞋を履く」ことが他の職種に比べて多いというのは、その通りかも知れません。
開業は、医師として業務を続けつつ、新たに経営者になるということなので、「二足の草鞋」に近いと思います。「臨床と研究が医師の本分」と考える先生のなかには、「商売の世界はどこか不真面目」と感じられることも手伝って、二足の草鞋を履く医者(開業医)を少し蔑んだ感じで思っている方はおられます。
以前いた病院で、同期に勝手に給与明細を開封された後輩(研修医)がいました。同期の給与明細を見たいという気持ちが常識的な理性を超えた(他人の給与明細を開封した)研修医君は「自分だけが損をしているのではないか?」と強く思っていたに違いありません。
「隣の芝生は青い」というのは本当です。同じように働く(他人の働き方が見えている)研修医同士でもそうなのですから、同じ医師の資格を持ちながら、働き方が違う(互いに見えない)状況であれば、なおさらです。私自身も「あそこのクリニックは繁盛しているようだ」といつも気にしています。
金銭的な待遇だけではありません。自由になる時間や自身の健康、地位、他人からの承認…、もし、「自分ばかりが損をしている」という思いに囚われているのであれば、まずは自分がどうしてその態度(働き方・生き方)を選んでいるのか、を自らに問いかける必要があるでしょう。同じ様な境遇の人が、自分より圧倒的に有利という状況は考えにくいですが、「自分ばかりが…」の人は、恐らくそのことを忘れてしまっています。
代議士になること、それが自分の生き方の本分であるのかを十分に吟味したうえで立候補した候補者でなければ、国の舵取りを任せることはできません。開業医も全く同じだと思います。
過去の雑感
2017年
1月 | 笑いの回数と時間の感覚 |
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2月 | 伝えることの難しさ |
3月 | だから私は革靴を履く |
4月 | 考えて、変わる |
5月 | ヘドノミクス |
6月 | 待ち時間 |
7月 | 待ち時間調査の結果 |
8月 | 離れて暮らす友だちの効用 |
9月 | タバコ |
2016年
1月 | 蕁麻疹とストレス |
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2月 | 娘から教わること |
3月 | 朝一番の院長の仕事とは… |
4月 | 開院後300日が過ぎて |
5月 | がんと診断されたときには |
6月 | ドクターショッピング |
7月 | イチロー選手 |
8月 | 診察室と言う空間 |
9月 | 毅然とした対応 |
10月 | 2045年問題 |
11月 | 弱点 |
12月 | ボランティア |
2015年
7月 | 「やらずに後悔するより、やって後悔する方がいい」 |
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8月 | 泌尿器科医と内科医、どちらが大変か? |
9月 | 泌尿器科と皮膚科と腎臓内科 |
10月 | 博士号と留学 |
11月 | 簡単に「絆」って言うな! |
12月 | 認定医と専門医 |